(C/2015X4,C/2013US10)

1月9日~10日の夜は晴れそうだったのでまた遠征撮影に行きました。
本命のカタリナ彗星(C/2013 US10)は自宅からでも
撮影可能な位置になりましたが他にも東天低空の
微光彗星をいくつか撮りたいので今回は宇根山に行きました。
やはり山は写りが良いので最近は足しげく通っています。
10日の0時頃現地に付くとUさんが撮影されていましたので
新年のご挨拶をして準備に取り掛かりました。


準備の最後にオートガイダーを立ち上げるとPCの画面に星が写りません。
画像は来ている様なのですが全体に白っぽく星が確認出来ない状態でした。
壊れたか?と青ざめて電源を入れ直したり
コードを抜き差ししたりバタバタと焦りました。
しばらく悩んで何気なく望遠鏡を動かすと星が写ったので
空を見上げると、単にその方向に雲があって
星が写らなかったというだけの事でした。
星空の下なのにPCの画面ばかり見て
実際の星空を見ていない事に気づかされた出来事です。


結果的にこの夜は雲が度々飛来して満足な撮影が出来ませんでしたが
何とかエレーニン彗星(2015X4)とカタリナ彗星の
2天体を撮影する事が出来てボウズを免れました(笑)
一人だったら早々に撤収していたはずですのでUさんに感謝です。





エレーニン彗星(C/2015 X4)
2015年12月にISONサーベイのエレーニン氏によって発見された彗星。
世界の各サーベイでは新彗星を、コンピューターが撮影画像から
自動で検出した場合にはプロジェクト名が付いて
人間が見つけ出した場合にはその人の名前が付いているようです。

11月に近日点を通過しており、現在は16等級で今後は減光する予想。
暗い対象ですが遠征先は空が良いので挑戦しました。
星図


確認画像ではそれらしい姿が写っていますが、
この彗星は日々運動量が少なく移動が遅いので
現地で移動の確認が出来ませんでした。
星図ソフトの位置とは一致していますが星雲かも知れないので
自宅で詳しく確認する事にして撮影を続けました。
確認


自宅で画像を合成する時にわずかな移動が確認できましたが
念のためDSS(デジタルスカイサーベイ)の画像と比較しました。

DSSとは天文台撮影のアナログ画像(乾板?)をデジタル化して
つなぎ合わせて全天星図にしたもので、ウェブで公開されており
位置を入力するとその位置の拡大写真が表示されます。
DSSには該当天体は存在しないのでエレーニン彗星と確定できました。
合成


曇ったので6枚で撮影を中止しました。
ちなみに画像合成によるノイズ低減効果は√合成枚数なので
いつもの16枚合成は1枚物よりノイズが4分の1になり
6枚合成では2.45分の1のノイズになる計算です。
2016.1.10 AM1:29~
ε160 + EOS KISS X3
ISO1600  90秒x6枚合成 
2015X4-2






カタリナ彗星(C/2013 US10)
AM3時で高度40°と写しやすくなって来ました。
12月以降太陽からは遠ざかっていますが地球には近づいて来ており
1月17日に最接近します。といっても1億kmの彼方ですが。
星図


晴れてはいるのですが数分おきに雲が襲来してきて
やきもきしましたが何とか8枚連続で撮影出来ました。
8枚合成は√8=2.82分の1のノイズになりますね(笑)

下の12月の画像と比べるとイオンテールは薄くなってますが
地球に近づいているので頭部とダストテールが大きくなっています。
この後本格的に曇ったのでUさんと撤収しました。
2016.1.10 AM3:11~
ε160 + EOS KISS X3
ISO1600  90秒x8枚合成 
s-1.10


s-12.9


s-12.20



最近になってやっと青空を撮影して
フラット画像を作りフラット補正をしてみると
周辺減光が消えてまずまずの結果になりましたので
今までの画像を530mmほぼフル写野で再処理してみました。

尾の先まで浮き上がらせるために頭部が少し白とびしたのはやむを得ません。
これで写野いっぱいの大彗星が現れても大丈夫です(笑)
s-12.9フラット


s-12.20フラット


s-1.10フラット

イオンテールとダストテールの角度が変化して
頭部が大きくなっている様子が分かります。